不動産会社の営業トークの見抜き方|騙されない判断基準
不動産投資の入り口に立ったばかりの初心者が、真っ先に餌食となる場所。それが「不動産業者の営業マンとの面談テーブル」です。
彼らはネイビーの仕立ての良いスーツを着こなし、高級時計をチラつかせながら、極めて論理的で美しい【営業トーク】を展開します。「将来の年金代わりになります」「節税効果で手取りが増えます」「生命保険の代わりになるんです」。投資に興味を持ったばかりの素人は、これらの甘い言葉のシャワーを浴びているうちに「なんて素晴らしい投資なんだ!」と完全に洗脳され、気づけば数千万円という取り返しのつかないローン契約書に実印を押してしまっています。
しかし、冷徹な真実をお伝えします。不動産業者の営業マンは、あなたの人生を豊かにするためのボランティアではありません。彼らの真の目的はただ一つ、【自社の利益がたっぷり乗った割高な物件(クズ物件)を、あなたという名義のローンを使って銀行から現金を引っ張り出し、売りつけること】だけです。
彼らの口から滑り出る「メリット」は、全て「最悪のリスク(デメリット)」を巧妙に隠蔽するためのオブラートに過ぎません。
本記事では、約の特大ボリュームで、悪質な不動産業者が素人を狩るために使う「三大営業トーク(節税・年金・生命保険)」の嘘とカラクリを、論理と数字を使って完全に論破します。さらに、彼らの口から【この言葉が出たら即退席すべき】という一発アウトの「危険なサイン」、逆に本当に長く付き合うべき「信頼できるプロの業者の見極め方」、そして洗脳状態から脱出し、相手を確実に遠ざける「最強の断り方」までを徹底解剖します。この記事は、強欲な不動産業者という狼の群れから、あなたの大切な資産(羊)を守るための最も強力な【防弾チョッキ】となるはずです。
よくある営業トーク(三大詐欺ワードの崩壊)
悪質な業者(特に新築ワンルームマンションの販売業者)が、年収500万円〜800万円のサラリーマンを狩る際に使う営業のトークスクリプトは、何十年も前から完全にマニュアル化されており、以下の「3つの魔法の言葉」に集約されます。これが出たら、その業者は100%クロ(悪徳)だと判断してください。
詐欺トーク?:「節税になりますよ」
営業マン「お客様の年収なら、このマンションを買って減価償却費などの赤字を出せば、給料から引かれている所得税が毎年数十万円も『還付(戻ってくる)』されますよ!実質タダで資産が手に入るようなものです!」
【見抜くポイント(嘘のカラクリ)】
これは、不動産投資の最大の「すり替え」です。
確かに、買った初年度は「登記費用(数十万)」や「仲介手数料」「不動産取得税」といった巨大な出費(現金流出)があるため、帳簿上は大きな赤字になり、税金は還付されます。
しかし、2年目以降はどうでしょうか。初期費用の経費化は終わり、「減価償却費」とローンの「利息部分」しか経費にならなくなります。(※前の記事で解説した通り、数千万円のローン元本返済分は経費になりません)。
すると、数年後には「帳簿上は利益が出ている(黒字化している)」のに、「現実の現金(キャッシュフロー)は、毎月のローン返済と管理費で数万円のマイナス(持ち出し)」という【デッドクロス】の地獄が必ず訪れます。黒字化すれば当然、税金は「還付」されるどころか「追加で徴収(増税)」されます。一時的な節税という麻薬を餌にして、本来払う必要のなかった【毎月数万円を手出しし続ける借金地獄】に引き摺り込むのが「節税トーク」の正体です。
詐欺トーク?:「将来の年金代わりになります」
営業マン「毎月1万5千円の持ち出し(赤字)にはなりますが、これは『貯金』と同じです。35年後にローンが完済すれば、あとは毎月8万円の家賃収入が丸々入ってくる『私的年金』になりますよ!」
【見抜くポイント(嘘のカラクリ)】
これも壮大な嘘です。彼らのシミュレーション表は、35年後も「今の高い家賃がそのまま保証され、かつ管理費や修繕積立金も一切上がらない」という童話のような設定で作られています。
現実の不動産市場では、日本の人口減少と建物の老朽化により、35年後の家賃は良くて「半額程度」に大暴落します。さらに、マンションの修繕積立金は15年ごとに行われる大規模修繕のたびに「2倍、3倍」と跳ね上がります。
「家賃は下がり続け、経費(管理費等)は上がり続ける」。これが不動産の真理です。35年後、ローンが終わった頃には、家賃収入よりも管理費の支払いの方が高くなり、もはや年金どころか「毎月お金を浪費し続けるだけの巨大な粗大ゴミ(負動産)」に成り果てている確率が極めて高いのです。
詐欺トーク?:「生命保険の代わり(団信)になります」
営業マン「もしお客様に万が一(死亡・高度障害)のことがあっても、『団体信用生命保険(団信)』に入っているので、残りのローンはゼロになります。残されたご家族に無借金のマンションという資産(毎月の家賃)を残せる最強の生命保険なんですよ!」
【見抜くポイント(嘘のカラクリ)】
「家族のために」という感情を揺さぶる最も卑劣なトークです。
確かにローンはゼロになります。しかし、残された家族が相続するのは「毎月お金を吸い取り続ける負動産」です。先ほど述べた通り、将来的に家賃収入よりも管理費・固定資産税の支払いの方が高くなる(赤字になる)物件であれば、家族は「毎月の支払い義務」と「売るに売れない(買い手がつかない)流動性の低さ」という巨大な負債を押し付けられることになります。
家族を守りたいのであれば、「月額5,000円の掛け捨ての優良な生命保険(死亡時に数千万円の現金が一括で振り込まれるもの)」に加入するのが圧倒的に合理的であり、ノーリスクです。数千万円の借金という爆弾に「保険の機能がちょっとついている」というだけで手を出すのは狂気の沙汰です。
危険なサイン(この言葉が出たら即退席)
営業マンは、あの手この手であなたに「今日、買付申込書にサイン」させようと迫ってきます。彼らのトークの中で、以下の言葉(焦らせる言葉)が一つでも出た瞬間、あなたは財布を握りしめてその場から逃げ出さなければなりません。
危険サイン?:「今すぐ申し込まないと、他の人に取られますよ!」
これは営業の常套句(クロージングの最終兵器)ですが、100%嘘です。
本当に奪い合いになるような超お宝物件(割安物件)であれば、営業マン自身が自分で買うか、彼らが抱えている最優先のVIP客(現金一括で買えるメガ大家)に真っ先に電話して、裏で即座に取引が終わっています。
知識のない素人であるあなたの目の前に、何日もそんなお宝物件が放置されていることなど、不動産の構造上【絶対にあり得ません】。「あなたに買ってもらうために、必死に売り込んでいる(=売れ残っている割高物件である)」という証拠です。
危険サイン?:「自己資金はゼロ(フルローン)で大丈夫です」
「お金がなくても、全額ローンで買えるからノーリスクです」と言ってきたら、その業者はあなたを「自分の利益のための養分」としか見ていません。
前回の「キャッシュフロー」の記事で学んだ通り、フルローンで物件を買うということは、毎月の家賃収入の半分以上をいきなり銀行に献上し、少しでも家賃が下がったり空室が出た瞬間に破産する(首の皮一枚の綱渡りをさせられる)ことを意味します。安全な不動産経営には「2割の頭金」が絶対条件です。「フルローンで買わせる業者=あなたの未来の破産を一切気にしていない業者」です。
危険サイン?:「家賃保証(サブリース)がついているので安心です」
前回の記事で徹底解説した通りです。「サブリース=業者の利益の二重取りであり、大家からの解約が不可能な地獄の契約」です。これを「メリット」として笑顔で勧めてくる業者は、悪魔と契約させる詐欺師と完全に同義です。
信頼できる会社(プロ)の特徴
悪徳業者が多い不動産業界ですが、全てが敵というわけではありません。本当にあなたが長く付き合い、パートナーとして富を築いていくべき「本物の優良業者(プロ)」には、素人には冷たく見えるほどの「厳しい共通点」があります。
? いきなり物件を勧めてこない(まずは財務分析から入る)
悪質な業者は、出会ったその日に「この物件どうですか!」とパンフレットを広げます。しかし、本物のプロは違います。
「あなたの現在の年収は?」「お持ちの現預金(頭金に使えるお金)はいくらですか?」「既存の借金(車のローンなど)はありますか?」「最終的に毎月いくらのキャッシュフロー(現金)が欲しいのですか?」
まず、あなた自身の『財務状態(バランスシート)』を丸裸にするヒアリングから始まります。患者の血液検査をせずに手術を始める医者がいないのと同じで、あなたの財務力(融資枠)とゴールを正確に把握しなければ、どんな物件を当てはめればいいのかが分かるはずがないからです。
? 「リスク(デメリット)」を数字で徹底的に詰めてくる
「この物件を買うと、節税になりますよ」と言うのが三流です。
本物のプロの業者は、「この物件をこの金利で買うと、5年後に減価償却が切れて税金が跳ね上がり、キャッシュフローは年間20万円のマイナス(赤字)に転落します。さらに10年後に150万円の大規模修繕が発生します。
だから、この物件を買う条件として【頭金を500万円入れて返済比率を40%まで下げること】が必須です。それができなければ、破産するので私からは売りません」と、『最悪のシミュレーション(デッドクロスや空室リスク)』を容赦なく突きつけ、それを回避するための条件を厳しく提示してきます。
綺麗事を言わず、数字とリスクであなたを殴ってくる業者こそが、本物の味方です。
? サブリースを否定し、「自主・または一般管理」を勧める
本物の業者は、サブリース(家賃保証)の危険性を誰よりも分かっています。そのため、「家賃保証なんて業者が儲かるだけの不要なコストですから、通常の手数料5%の管理委託(一般管理)にしなさい。空室が出ても、私たちがきちんとしたリーシング(客付け)を行ってすぐ埋めてみせますから」と、自らの「管理能力(満室にする腕)」に絶対的な自信を持っています。
断り方(洗脳を断ち切る絶対の魔法)
もしあなたが営業マンの話に流されそうになり、「買わなければいけない」という謎の洗脳プレッシャーに取り込まれてしまったら、以下の「3つの断り方」のいずれかを必ず使ってください。相手は一瞬で諦めて引いていきます。
最強の断り方?:「今の話、弁護士(または税理士)に録音データを聞かせて相談してから決めます」
営業マンが最も恐れる言葉です。
彼らのトーク(「絶対に節税になりますよ」などの断定的な利益の約束)は、宅建業法違反(断定的判断の提供)にあたるグレーゾーンであることが多々あります。
「ボイスレコーダーで録音させていただきました。顧問税理士と弁護士にこのシミュレーションが本当に正しいかチェックしてもらってから、明日お返事します」と伝えた瞬間、営業マンは「面倒な客(法律のプロを出してくる客)」だと判断し、強引なクロージングを完全に諦めます。
最強の断り方?:「実家の親に、頭金を出してもらうために相談します」
営業マンは「奥さんに相談します」と言われるのには慣れており、「奥様を説得する方法は〜」と切り返してきます。
しかし、「どうしても買いたいんですが、お金がないので、実家の父(口うるさい資産家という設定)と一緒に明日ここへ来て、頭金を出してくれるようにお願いしてみます!」と明るく伝えてください。
業者は、自分たちのカモ(あなた)の後ろに「騙されない第三者の大人(お金持ち)」が出てくることを極端に嫌がります。「親ブロック」は、彼らを遠ざける立派な魔法です。
最強の断り方?:「サブリース(家賃保証)を外してくれるなら買います」
新築ワンルーム業者に対する最強の殺し文句です。彼らのビジネスモデルの根幹は「ぼったくり価格で売りつけた後、サブリースで一生利益を吸い上げ続けること」です。
「物件は気に入りました。ただ、私はサブリースは絶対にやりたくないので、保証を完全に外して、純粋な売買契約だけに書き直してくれるなら今すぐハンコを押します」と宣言してください。
ほとんどの業者は「いや、うちはサブリース必須なので…」としどろもどろになり、自ら身を引いていくでしょう。彼らは「サブリースという首輪をつけられない客」には、物件を売る価値がないからです。
まとめ
不動産投資の営業テーブルは、お互いの知識と度胸が激突する「情報戦の最前線(戦場)」です。
相手は、あなたの一生分の借金(数千万円のローン)を合法的に自分たちの口座に振り込ませるために、あらゆる甘い毒(節税・年金・生命保険)をコーティングして笑顔で勧めてきます。
「一時的な節税になっても、数年後の黒字倒産(デッドクロス)で破産する」
「年金代わりになる頃には、家賃が下がり管理費が高騰した大赤字の負動産になっている」
「生命保険代わりと言っても、残された家族に不動産という巨大な足枷(負債)を押し付けるだけ」
これらの【数字の絶対的な真理】を頭の中の防弾チョッキとして身につけ、営業マンの言葉の裏にある「業者側の強欲なロジック」を冷徹に透視してください。
「今日申し込まないと無くなりますよ」「フルローンで買えますよ」という焦らせる言葉が出たら、一秒でも早くその席を立ち上がること。「弁護士に聞いてからにします」と、法という見えないナイフを突きつけること。
自分の資産(何千万円の現金)は、営業マンの「絶対儲かります」という言葉ではなく、あなた自身が電卓を叩いて割り出した「冷徹な利回りの数字」によってのみ守られる。これが、資本主義という戦場で生き残るための、最も強く、孤独な真実なのです。