不動産投資の火災保険は必要?補償の選び方を解説

不動産投資を始めるにあたり、何千万円というローン契約書に震える手でハンコを押すその横で、銀行の担当者が当然のように差し出してくる書類があります。それが「火災保険」の申込書です。「融資の条件ですから必ず加入してくださいね」と言われ、中身もよく見ずに、言われるがまま数十万円の保険料を決済時に支払ってはいませんか?

もしあなたがそうした「思考停止の保険加入」をしているなら、それは自ら進んでぼったくりバーにお金を貢いでいるのと同じです。
不動産投資における火災保険は、マイホームの保険とは全く意味合いが異なります。それは単に「家が燃えたらお金がもらえる」という受動的なお守りではありません。「数千万円の借金を抱えたまま資産がゼロになる恐怖(全焼・全壊リスク)」から身を守り、さらには「建物の老朽化による水漏れ」や「入居者への損害賠償」といった賃貸経営ならではのリアルな物理的トラブルを、保険会社の資金を使ってノーダメージで切り抜けるための【最強の攻撃的シールド(防具)】なのです。

本記事では、約の特大ボリュームで、素人大家が絶対にカモられる「火災保険・地震保険」の本当の役割と、プロの投資家だけが知っている【究極のカスタマイズ術】を徹底解剖します。不動産屋や銀行が勧めてくる「無駄な特約がてんこ盛りのフルカバープラン」から、あなたが絶対に外してはいけない『必須の補償(施設賠償責任など)』と、逆に今すぐ削り落とすべき『不要な特約(水災など)』を明確に仕分けします。さらに、保険料の相場と、補償を手厚くしたまま支払う現金を半額以下に落とす裏技(免責金額の設定と相見積もり)まで完全公開します。この記事を読めば、あなたは無駄な保険料を1円も払うことなく、どんな災害や事故が起きても絶対に自己破産しない「鉄壁の不動産要塞」を構築できるはずです。

保険の役割

そもそも、なぜ不動産投資において火災保険と地震保険は「絶対に必要」なのでしょうか。現金一括で買っているならまだしも、銀行からローンを引いて不動産を買っている場合、保険に入らないことは「ノーヘルメットで時速300kmのバイクに乗るようなもの(=即死)」を意味します。

「借金だけが残る」という絶対的絶望を回避する

不動産投資の最大の特徴は「レバレッジ(他人の資本で大きな資産を買うこと)」です。
もしあなたが3,000万円を銀行から借りてアパートを買い、その翌月に隣の家からの「もらい火」でアパートが全焼したとします。(※日本の法律『失火責任法』では、隣の家からのもらい火であっても、相手に重大な過失がない限り損害賠償を請求することはできず、自分で直さなければなりません)。

アパートが全焼すれば、入居者は全員退去し、翌月からの家賃収入は【ゼロ】になります。しかし、銀行からの「3,000万円のローン返済」は1円も減らずに毎月あなたの口座に請求され続けます。
「資産(建物)はゼロになったのに、負債(借金)だけが丸々残る」。これこそがレバレッジの最も恐ろしい副作用です。この絶対的な絶望状態(自己破産)を唯一防いでくれるのが、全焼した建物をもう一度新しく建て直すだけの現金(再調達価額=新価)を即座に振り込んでくれる『火災保険』というシステムなのです。だからこそ、銀行はお金を貸す絶対条件として、建物に火災保険を掛けさせ、そこに質権(保険金を銀行が最優先で受け取る権利)を設定するのです。

「賃貸経営ならではのトラブル」を保険の金で直す

また、火災保険という名前ですが、カバー範囲は火事だけではありません。台風で屋根が飛んだ(風災)、上階の給水管が破裂して下の階が水浸しになった(水漏れ)、駐車場に停めてあった入居者の車に外壁のタイルが落ちて傷をつけた(施設賠償責任)など、大家業をやっていると必ず直面する「数十万円〜数百万円が飛んでいく物理的トラブル」の修繕費や賠償金を、すべて保険会社に肩代わりさせることができます。
保険を使いこなすプロの大家は、自分の財布(キャッシュフロー)を一切痛めることなく、保険金だけで物件を綺麗に直し続け、利回りを極大化させているのです。

必須補償

火災保険は「基本の補償」に、様々な「特約(オプション)」をレゴブロックのように組み合わせて作ります。不動産賃貸業を守る上で、何があっても絶対に外してはいけない【鉄壁の必須補償(オプション)】を解説します。

? 火災・落雷・破裂・爆発(基本中の基本)

これは火災保険のメインとなる部分であり、外すことはできません。火事はもちろん、落雷による給湯器や共用ブースター(テレビ受信機)のショート・破壊、そしてガス爆発などによる損害をカバーします。特に落雷による設備の故障は夏場に頻発するため必須です。

? 風災・ひょう災・雪災(台風と豪雪対策)

日本の不動産において、火事よりも圧倒的に保険を使う頻度が高いのがこの「風災」です。
台風の強風で屋根の瓦が飛んだ、雨樋(あまどい)が外れた、強風で飛んできた看板で窓ガラスが割れた、大雪の重みでカーポートの屋根が潰れたといった、自然災害による物理的ダメージを補償してくれます。古い木造アパートを買う場合、台風のたびにどこかが壊れるため、この風災補償は大家の命綱となります。

? 水濡れ(みずぬれ)補償

これも築古物件(特にRCマンションなどの集合住宅)で絶対に必須の補償です。天井の裏を通っている古い給排水管が突然劣化で破裂し、下の階の部屋が水浸しになってしまう漏水事故は、賃貸経営の「あるあるトラブル」の筆頭です。この水濡れ補償に入っていれば、濡れてダメになった壁紙や床の張替え費用、水漏れの原因調査費用などを保険でカバーすることができます。(※ただし、「配管そのものを新品に交換する費用」は老朽化とみなされ保険が降りないことが多いため注意が必要です)。

? 【超重要】施設賠償責任特約(大家の絶対防御)

大家業を営むなら、絶対に、何が何でも付帯しなければならない最強の特約がこの「施設賠償責任特約(しせつばいしょうせきにんとくやく)」です。
これは「建物の欠陥や管理の不備によって、他人の身体や財物に損害を与えてしまい、法律上の損害賠償責任を負った場合」に発動する保険です。
例えば、「老朽化した外壁のタイルが剥がれ落ちて、通行人の頭に直撃して大怪我をさせた(最悪死亡させた)」「共用廊下の照明が落ちて、入居者の高級車をボコボコにした」「水漏れによって、下の階の入居者の高級パソコンやブランド鞄が全部ダメになった」。
こうした事故は、大家であるあなたに「数千万〜数億円の損害賠償」が請求される恐ろしい事態です。この施設賠償責任特約一つ(年間数千円程度の超安いオプション料金)をつけておくだけで、上限1億円などの超高額な賠償金を保険会社が全額払ってくれます。この特約に入らずに大家業をやることは、爆弾を抱えて生活しているのと同じです。

? 地震保険(別枠であるが必須)

日本に不動産を持つ以上、地震保険の加入も必須です。地震によって起きた火災(地震火災)や津波による流失は、「通常の火災保険」では【一切(1円も)補償されません】。地震保険は国と民間が共同で運営しており、最大でも「火災保険金額の50%」までしか掛けることができませんが、それでも「借金の半分をチャラにする現金」あるいは「生活を立て直すための当面の現金」が手元に入ってくる効果は絶大です。

不要な特約

保険は安心を買うものですが、「起きる確率がほぼゼロの災害」にまで高いお金を払うのはただの情弱です。不動産屋や銀行が出してくる「フルカバープラン(一番高いやつ)」から、あなたが自分の意思で削り落とすべき【不要な特約】を見極めましょう。

? 「水災」補償(ハザードマップ次第で即外し)

火災保険の保険料を最も強烈に押し上げている元凶が、この「水災(洪水や高潮による山上・床下浸水、土砂崩れ)」の補償です。水災補償を外すだけで、保険料が「3割〜半額近く」まで安くなることも珍しくありません。

水災が必要かどうかは、パソコンで各自治体の『ハザードマップ』を5分調べれば素人でも一瞬で判断できます。
・物件が「高台の頂上」にあり、絶対に川が氾濫しても水が来ない場所
・購入する物件が「区分マンションの3階以上の部屋(床上浸水の物理的確率ゼロ)」
このような条件の物件に、高い水災補償をつけるのは、砂漠で津波保険に入るようなものです。ハザードマップで「浸水想定が0.5m未満(または色が付いていない安全地帯)」であれば、容赦なく水災特約を外してキャッシュ(現金)を温存してください。

? 盗難・破損・汚損補償(コスパが悪い)

「泥棒に窓ガラスを割られて侵入された(盗難)」「模様替え中にうっかり壁に穴を開けてしまった(破損・汚損)」といった日常的なトラブルをカバーする特約です。
マイホーム(自分が住む家)であれば入る価値はありますが、人に貸す投資用物件の建物自体に掛けるには、優先順位が極めて低いです。泥棒に窓を割られたとしても数万円の修理費で済みます。数万円の修理のために、毎年高い保険料を払い続けるのは投資効率(コスパ)が悪すぎます。小さな損害は「家賃収入(自分のポケットマネー)」からサクッと支払い、数百万以上の致命的な損害(火事や台風)だけを保険でカバーする、というメリハリが投資家には求められます。

? 家賃収入特約(空室リスクは現金のバッファで耐える)

「火事や水漏れで部屋が使えなくなった期間中の『失われた家賃』を補償してくれる」という特約です。一見よさそうに見えますが、これも特約保険料が割高です。
前回の記事で解説した通り、優良な投資家であれば「万が一空室が数ヶ月続いても、手持ちの現金(キャッシュのダム)でローンを返済できる安全な財務体制」を構築しているはずです。数ヶ月分の家賃を保険でカバーするために毎年高い特約料を払うくらいなら、最初から頭金を多く入れて返済比率を下げ、自分の手元の現金で耐えられるようにしておく方が圧倒的に安上がりで健全です。

保険料の目安とコスト削減テクニック

最後に、火災保険のリアルな相場と、補償の中身を充実させたまま、保険会社に支払う現金(保険料)を極限まで安く抑え込む「2つのプロのテクニック」を伝授します。

構造別の保険料の目安(5年一括払いの場合)

火災保険の料金は、「建物の構造(木造か、鉄骨か、RCか)」によって天と地ほどの差が出ます。火に弱く壊れやすい木造は圧倒的に保険料が高く、火に強いRC(鉄筋コンクリート)は安くなります。(※現在、火災保険の最長契約期間は「5年」となっています)。

・木造アパート(購入価格3,000万円程度、築古)
フルカバーだと「50万円〜80万円」、水災や不要な特約を削ると「25万円〜40万円」程度が目安。

・RC区分マンション(購入価格1,500万円程度)
もともと躯体が強く、水災も不要なため、「数万円〜10万円」程度に収まることがほとんど。

コストダウン術?:絶対に『相見積もり(アイミツ)』を取る

前回の「初期費用の記事」でも触れましたが、銀行や不動産屋が出してくる火災保険の見積もり(提携の大手損保)は、ただの「言い値」であり一番高いプランです。彼らの目的は、あなたを守ることではなく、高い保険料による「自分の手数料(キックバック)収入」を増やすことです。
「知り合いの代理店がいるので」と言って必ず見積書を持ち帰り、ネット型の損害保険会社や、複数の保険会社を扱っている独立系の保険代理店に「同じ補償内容」で相見積もりを取ってください。驚くほど安い金額(ヘタをすれば半額近い金額)が提示されます。火災保険はどこで加入しても大家の自由なのです。

コストダウン術?:『免責金額(自己負担金)』を5万〜10万円に設定する

これはプロ投資家の常識ですが、保険料を劇的に安くする最強の魔法が「免責金額(エクセス)」の設定です。
免責金額とは、「もし損害が起きても、この金額(例えば10万円)までは自分で払います。それ以上かかった分だけ保険会社さん払ってください」という自己負担の約束です。
「免責ゼロ(1円の損害から保険会社に払ってもらう)」の設定にすると、保険会社は事務処理の手間がかかるため、保険料が一気に跳ね上がります。逆に「免責10万円」に設定するだけで、ベースの保険料が見る見るうちに安くなります。
投資家たるもの、数万円の小さな修繕は毎月の家賃収入からパッと支払い、300万円屋根が飛んだ!といった「自分ではどうしようもない巨大な支払い」だけを保険に守らせる。これが、保険という金融商品の最も美しく、最もコストパフォーマンスの高い使い方なのです。

まとめ

不動産投資において、火災保険と地震保険は、決して「銀行に言われたから嫌々入るもの」ではありません。それは、借金というレバレッジをかけて戦場に出るあなたが、一撃で命を落とす(自己破産する)致命傷を防ぎ、時に他人の財布(保険金)で建物をピカピカに直すための「最強の防具であり武器」です。

不動産屋が勧めるフルカバーの保険に思考停止でハンコを押すのはやめましょう。必ず自分で【相見積もり】を取り、自分の建物のハザードマップを確認して「水災」などの不要な特約を削ぎ落とし、数千円で人生を救ってくれる「施設賠償責任特約」を確実に追加し、「免責金額」を設定して保険料の総額を叩き落としてください。

「何が起きるか分からないリスク」にお金を払うのが素人です。「何が起きるかを正確に想定し、最小のコストで最大の防御網を自分で構築する」のがプロの投資家です。保険証券の中身(特約の一つ一つ)を自分でカスタマイズできるようになれば、あなたはもうどんな災害や事故が起きても、絶対に倒れない強靭な城(不動産)の主として、安心して経営の舵を握り続けることができるのです。


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