空室対策の基本|入居率を上げる方法まとめ

不動産投資の収益を根底から破壊する最大の敵、それが「空室」です。
どんなに高利回りのシミュレーションをエクセルで弾き出そうとも、どんなに節税効果を見込もうとも、部屋に人が住んで家賃を払ってくれなければ、すべての計算は絵に描いた餅に終わります。「空室期間中は家賃収入がゼロになる」というだけでなく、その間も銀行へのローン返済、管理費、固定資産税といった「現金の流出(キャッシュアウト)」は容赦なくあなたの口座を襲い続けます。
つまり、賃貸経営というビジネスにおいて「空室を満室にする能力」こそが、投資家としての生命線であり、最も直接的に利益を生み出すコアスキルなのです。

しかし、退去の連絡を受けてパニックに陥り、「とりあえず家賃を下げて募集してください」と管理会社に丸投げしてしまう素人大家は後を絶ちません。家賃の値下げは、物件の資産価値(売却価格)を直接的に下落させる「最後の劇薬」であり、何の策も講じずに最初から切るべきカードではありません。

本記事では、約の特大ボリュームで、素人大家が陥りがちな「空室が埋まらない本当の理由」の分析から始まり、家賃を下げる前に打つべき「募集条件の劇的な見直し」、費用対効果が極めて高い「小予算での設備改善テクニック」、そして現代の部屋探しにおいて最も絶大な威力を発揮する「ネット掲載写真と募集図面の魅せ方」まで、明日からすぐに実行できる【空室対策の王道メソッド】を完全網羅します。
この記事を最後まで読めば、あなたは「部屋が埋まるのをただ祈って待つだけの弱い大家」から、「自らの戦略で確実に入居者を惹きつけ、満室状態を作り出す強い大家(経営者)」へと劇的な進化を遂げることができるでしょう。

空室になる理由

空室対策を打つ前に、そもそも「なぜあなたの物件に申し込みが入らないのか(選ばれないのか)」という根本的な原因(ボトルネック)を正確に突き止める必要があります。病気の原因が分からなければ、正しい薬を処方することはできません。空室が長引く理由は、大きく分けて以下の3つのフェーズのどこかで「つまずいている」状態です。

? そもそも「ネット検索(ポータルサイト)」で引っかかっていない

現代の部屋探しは、99%が「SUUMO」や「HOME'S」といったインターネットの不動産ポータルサイトから始まります。入居希望者は、スマホに「家賃◯万円以下」「駅徒歩◯分」「バストイレ別」「2階以上」といった希望条件(チェックボックス)を入力して検索します。
もしあなたの物件が、この「条件検索」の網目から漏れていれば、どれだけ部屋を綺麗にリフォームしようが、そもそも誰のスマホの画面にも表示されません。内見はおろか、存在すら知られていないという最も恐ろしい「透明人間の状態」です。

? ネットの「写真や間取り図」を見てスルーされている

検索結果の一覧に表示されても、「クリックして詳細(募集ページ)を見てもらえない」というフェーズです。ポータルサイトにはライバル物件がズラリと並んでいます。
その中で、あなたの物件のトップ写真が「暗くて狭く見える和室の写真」だったり、間取り図が「白黒の手書きで古臭い」ものであったりすれば、ユーザーは一瞬で「この部屋はナシ」と判断し、次の物件へスクロールしてしまいます。

? 「内見(現地見学)」に来たのに決まらない

ネットを見て「良さそう」と思い、わざわざ不動産屋に足を運んで内見にまで来てくれたのに、申し込み(契約)が入らない一番悔しいパターンです。
これは、現地の部屋を見た瞬間に「ネットの写真よりも汚かった」「玄関を開けた瞬間に下水やカビの臭いがした」「共用部(ゴミ捨て場や廊下)が荒れ果てていて治安が悪そうだった」といった、【現地での強烈なマイナスギャップ(減点)】が発生していることが原因です。

あなたの物件が今、この?〜?の「どの段階で客を逃しているのか(PV数が足りないのか、反響率が低いのか、成約率が低いのか)」を管理会社にヒアリングし、数値を分析することが空室対策の絶対的な第一歩となります。

募集条件の見直し

「物件が検索されていない」「不動産屋の営業マンがそもそも客に紹介してくれない」という最初のボトルネックを解消するためには、家賃を下げる前に「募集の基本条件(入居のハードル)」を徹底的に下げる(緩和する)ことが極めて有効です。

? 敷金・礼金を「ゼロ(無料)」にする

現在、空室対策の最もスタンダードかつ即効性のあるカードが「敷金ゼロ・礼金ゼロ(いわゆるゼロゼロ物件)」への変更です。
引越しをする際、入居者は家賃の他に、前家賃、仲介手数料、保証会社費用、火災保険料、さらには引越し業者の代金や家具家電の購入費など、数十万円という巨大な初期費用(現金)が必要になります。この「初期費用の負担」を極限まで軽くしてあげる(入居のハードルを下げる)ことで、圧倒的に募集のパイ(ターゲット層)が広がります。礼金をもらえなくなるの一過性の損失よりも、空室が1ヶ月長引いて家賃1ヶ月分を丸々失う(機会損失)ことの方が、キャッシュフローへのダメージはずっと大きいのです。

? 「入居条件」を緩和する(ペット可、高齢者・外国人相談)

家賃も敷金礼金も変えずに、劇的に入居率を上げる方法が「ターゲットの間口を広げること」です。
例えば、多くの大家が嫌がる「ペット飼育可(小型犬や猫)」にするだけで、検索数は爆発的に跳ね上がります(ペット可の賃貸物件は市場に少なく、需要が供給を上回っているためです)。「退去時のニオイや傷が心配」と思うかもしれませんが、そうしたリスクは「ペット飼育時は敷金をプラス1ヶ月預かり、退去時の償却にする」という特約をつけることで完全にカバーできます。

同様に、「高齢者」や「外国籍」の方の入居を「相談不可」から「相談可(保証会社必須)」に変更するだけでも、他の物件で門前払いされている優良な入居希望者を一気に取り込むことができます。現代の賃貸市場において、「普通に働いている単身の日本人の若者」だけをターゲットにしていては、ライバルの新築物件に勝つことは決してできません。

? フリーレント(家賃無料期間)の設定

「どうしても家賃(月額)の金額は下げたくない(売却時の利割りを維持したい)」という大家にとっての魔法のカードが『フリーレント』です。
これは、「入居から最初の1ヶ月(または2ヶ月)の家賃を無料(タダ)にしますよ」という特典です。入居者にとっては初期費用が劇的に下がるため非常に魅力的に映りますし、大家側にとっても、「名目上の家賃」は下げていないため、物件の利回り(資産価値)を棄損させずに済むという絶大なメリットがあります。

設備改善

募集条件を緩和して内見(現地見学)まで客を呼べるようになったら、次は「現地で部屋を見てテンションを上げさせる(成約させる)」フェーズです。数百万円かけるようなフルリノベーションではなく、「費用対効果(コスパ)が異常に高い、数万円〜十数万円で劇的に印象が変わる設備改善」の王道を解説します。

? テレビモニター付きインターホンの設置

現代の部屋探しにおいて、特に女性や学生にとって「カメラ付きのインターホン」は【必須設備(これがないとそもそも検索のチェックボックスで弾かれる)】に近づきつつあります。
古い「受話器だけ」のインターホンや「チャイムのみ」の物件は、それだけで防犯意識が低い物件とみなされ、敬遠されます。モニター付きインターホンは、本体代と電気工事費を含めても「2万円〜3万円程度」で設置可能です。この数万円の投資で得られる入居者への「安心感(アピールポイント)」は計り知れません。

? インターネット無料物件へのアップグレード

今やスマホやYouTube、Netflixが生活インフラとなった時代です。全国の賃貸情報サイトの人気設備ランキングで常に1位に君臨しているのが「インターネット無料(Wi-Fi使い放題)」です。
アパートに専用の回線を引き込み、各部屋にルーターを設置する工事費と月額費用(大家負担)がかかりますが、入居者にとっては「自分で月額5,000円の光回線を契約する手間とコストが浮く」という絶大なメリットがあります。「家賃を3,000円値引きする」くらいなら、「家賃は据え置きで、ネット無料を導入する」方が、圧倒的に成約率が上がり、退去率も下がる(他の物件に引っ越しにくくなる)という強力な効果を発揮します。

? アクセントクロスの導入(内装の差別化)

退去後の原状回復で壁紙(クロス)を張り替える際、「とりあえず部屋全体を白い量産品のクロスで」と指示を出しているなら、今すぐやめてください。
部屋の壁の「一面だけ」を、色付きやレンガ調、ペールトーン(薄いブルーやグレー)などのデザイン性の高い『アクセントクロス』にするだけで、部屋の印象は「普通のつまらない部屋」から「オシャレでデザイナーズっぽい部屋」へと劇的に変貌します。
クロスの単価は白も色付きもほとんど変わらないため、追加費用は「数千円〜1万円程度」しかかりません。特にネット上で物件写真を一覧で見た際に、この壁の色(アクセントクロス)が強烈なフック(目を引くポイント)となり、クリック率を大幅に引き上げてくれます。

? 照明とウォシュレットによる「清潔感」の演出

何もない無機質な空室に、「オシャレなシーリングライト(またはダウンライト)」を取り付けておくだけで、内見時の印象は数倍良く見えます。(※白熱電球の温かい光が効果的です)。
また、トイレの「温水洗浄便座(ウォシュレット)」も、現代人にとっては付いていて当たり前の設備です。これもネット通販で1万円台で買え、簡単な工具で大家自ら取り付けることも可能な、コスパ最強の空室対策アイテムです。

写真と募集の重要性

ここまで「条件の緩和」と「設備の改善」を行っても、それを「世の中に(ネットを通じて)正しく、魅力的に伝える手段」が間違っていれば、すべての努力は無駄に終わります。
空室対策における最大の武器、それはズバリ「ネットに掲載する写真」と「客付け業者へのアピール(営業活動)」です。

? 魅力的な写真への「全振り(全力投球)」

多くの管理会社は、忙しい業務の合間にスマホでパシャパシャと数枚写真を撮り、それをそのまま薄暗い状態でポータルサイトにアップしています。これでは、あなたの渾身のアクセントクロスも、新しい設備も全く伝わりません。

入居率の高いプロの大家は、写真に命をかけています。
・天気の良い「晴れた日の午前中」に撮影する。
・部屋を最大限広く見せるために「広角レンズ(またはスマホの広角モード)」を使用する。
・照明をすべてつけ、明るく温かみのある印象にする。
・できれば、観葉植物や小さなテーブルセットなどを置いて「暮らしのイメージが湧く(ホームステージング)」状態にして撮影する。

もし管理会社の写真が下手であれば、「自分で広角レンズを使って撮影した渾身の写真データ」を管理会社に送り、「この写真に差し替えてSUUMOに掲載してください」と指示を出すのが、稼ぐ大家の常識です。

? 「AD(広告料)」の戦略的投下

そして最後に、客付け(仲介)を行ってくれる不動産屋の営業マンを「最も強力な味方(最強の営業マン)」に変えるための魔法の資金があります。それが『AD(広告料)』です。
ADとは、入居者を決めてくれた仲介業者に対して、通常の仲介手数料とは別に、大家から支払われる「成功報酬(ボーナス)」のことです。(※通常、家賃の1ヶ月分〜2ヶ月分を支払います)。

仲介業者の営業マンもボランティアではありません。彼らには毎月の厳しい売上ノルマがあります。
同じ家賃6万円の物件が2つあった場合、「ADがゼロの物件」と「ADが2ヶ月分(12万円)もらえる物件」、彼らがカウンターに座ったお客さんにどちらを猛烈にプッシュ(オススメ)するかは火を見るより明らかです。
「家賃を下げる」「リフォームに数十万円かける」といった決断をする前に、まずは「客付け業者へのAD(成功報酬)を家賃の2ヶ月分に引き上げる」という戦略を打ってみてください。全国の営業マンがいきなりあなたの物件を「超おすすめ物件」としてエース級の扱いで客に紹介し始め、あっという間に空室が埋まるという魔法のような光景を目の当たりにするはずです。

まとめ

空室対策とは、ただ神頼みをすることでも、思考停止して家賃を無意味に下げることでもありません。それは、自分自身の物件の「弱点(どこで躓いているか)」を正確に見極め、限られた予算(資金)を最も効果的なポイントにピンポイントで投下していく【高度な投資(マーケティング)戦略】です。

ネット検索で弾かれないために「敷金・礼金をゼロにする」「ペットや高齢者を相談可にする」といった条件面のハードルを引き下げること。
内見客の心を一瞬で掴むために、モニター付きインターホンやアクセントクロス、無料インターネットといった「コスパ最強の設備改善」に数万円の投資を惜しまないこと。
そして何より、その魅力を120%伝えるための「広角レンズを使った明るい写真」への差し替えと、仲介業者の営業マンを本気にさせる「AD(広告料)」の戦略的投下を行うこと。

これらの基本にして王道の対策を、「管理会社任せ」にするのではなく、大家であるあなた自身が陣頭指揮を執って一つ一つ実行していく。その圧倒的な行動力と経営者としての執念こそが、どんな逆境やライバル物件にも負けない「永遠の満室経営」という究極のキャッシュフロー・マシーンを作り上げる唯一のレシピなのです。


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