管理会社の選び方|良い管理会社とダメな管理会社の違い
不動産投資の成功を左右する要因として、「物件選び」や「融資の条件」ばかりがクローズアップされがちですが、実は購入後の収益(手元に残る現金)を最も強烈に決定づけるのは「管理会社の実力」です。どれほど安く、どれほど高利回りな物件を仕入れたとしても、その物件を運営する管理会社が無能であれば、あっという間に空室の山が築かれ、想定していたキャッシュフローは無残に崩れ去ります。
数百万、数千万のお金を投じて購入した大切な不動産を「誰に託すか」。不動産投資が「不労所得」と呼ばれるゆえんは、オーナーの代わりにすべての実務を代行してくれる優秀な管理会社の存在があってこそ成立するものです。しかし、世の中に存在する無数の不動産会社の中から、真にオーナーの利益にコミットしてくれる「優良な管理会社」を見つけ出すのは、初心者にとって至難の業です。
本記事では、約の特大ボリュームで、そもそも管理会社がどのような役割を担っているのかという基礎から、手数料の裏側に隠されたカラクリ、そして空室を瞬時に埋める「客付け力」の真髄に迫ります。さらに最後には、プロの投資家が実践している「ダメな管理会社を即座に見抜くためのチェックリスト」を包み隠さず公開します。この記事を読めば、あなたの資産を最大化してくれる最強のパートナー(ビジネスの右腕)を選び抜くための、鋭い「経営者の眼」を手に入れることができるでしょう。
管理会社の役割
不動産投資の世界で言う「管理会社の役割」は、素人が想像するよりも遥かに幅広く、かつ深刻な責務を負っています。彼らは単なる「家賃の集金係」ではありません。あなたの物件の価値を維持し、利益を最大化するための総合的な「プロパティマネージャー(不動産経営代行者)」なのです。その主な業務レイヤーは以下の3つに大別されます。
? 入居者管理業務(クレーム対応と家賃回収)
入居者が快適に、かつトラブルなく生活できるようにサポートする最前線の業務です。「夜中に上の階の足音がうるさい」「エアコンから水が漏れてきた」「駐車場に知らない車が停まっている」といった、いつ発生するか分からない入居者からの無数のクレームやSOSに対し、24時間365日体制で一次対応を引き受けます。
そして何より重要なのが「家賃の集金と滞納督促」です。期日通りに家賃が支払われない場合、即座に電話や手紙で督促を行い、悪質な場合は連帯保証人への連絡や、最悪の場合は法的な明け渡し訴訟の手配まで行います。これらをオーナー自身(自主管理)で行おうとすれば、精神的なストレスで本業の仕事が手につかなくなるほどの重労働です。
? 建物管理(維持メンテナンス)
建物の物理的な価値(資産価値)を保全するための業務です。月に数回の共用部の定期清掃や、ゴミ捨て場の整理整頓、切れた電球の交換、さらにはエレベーターや貯水槽の法定点検の手配などを行います。
物件の美観は、退去を防ぐだけでなく、新たな入居者が内見に来た際の「第一印象」を決定づける最重要ファクターです。優秀な管理会社は、「エントランスのチラシが散乱していないか」「雑草が伸び放題になっていないか」を常に監視し、物件の競争力を裏側から支え続けています。
? リーシング業務(入居者募集・客付け)
退去が発生した際、間髪入れずに次の入居者を見つけ出す(空室を埋める)ための営業活動です。インターネット(SUUMOやHOME'Sなど)への魅力的な写真や募集図面の掲載、周辺の仲介会社への物件紹介(営業回り)、そして内見の案内から賃貸借契約の締結までを一手に引き受けます。
この「客付け力(リーシング力)」こそが、管理会社の実力を測る最大のバロメーターであり、オーナーのキャッシュフローに直結する最も重要な役割です。(後ほど詳しく解説します)。
手数料の違い
これらの面倒な業務をすべて代行してもらう対価として、オーナーは毎月「管理委託手数料(管理費)」を支払います。多くの初心者はこの「手数料の安さ」だけで管理会社を選びがちですが、ここに不動産投資の最も恐ろしい罠が潜んでいます。
「家賃の5%」という業界標準と安さの理由
日本の不動産管理業界において、管理委託手数料の相場は「毎月の集金家賃の5%(別途消費税)」が最も一般的です。家賃5万円の部屋が10室(満室で50万円)あれば、毎月2万5千円を管理会社に支払う計算です。
しかし、近年ではネット系の管理会社や新規参入業者が「管理手数料3%」、あるいは「一律1台1000円」「手数料無料(ゼロ!)」といった破壊的な価格を打ち出しているケースがあります。
バックエンド(見えない手数料)で搾取される恐怖
「同じ業務をしてくれるなら、手数料が安い(無料の)会社の方が手残りが増えてお得だ」と考えるのは非常に危険です。なぜなら、管理会社はボランティアではないからです。表向きの管理手数料を無料や格安にしている会社は、必ず「別の(見えにくい)場所」で強烈な利益を抜く仕組みを持っています。
例えば、「修繕費の異常な上乗せ(中抜き)」です。退去時のクロス張り替えやエアコン故障の交換の際、通常であれば5万円で済む工事に対して、指定の提携業者を使わせることでオーナーに「10万円」の見積もりを請求し、差額の5万円を裏でキックバックとして受け取ります。
また、「客付け時の高額な広告料(AD)」も常套手段です。新しい入居者が決まった際、オーナーに対して「家賃の2ヶ月分〜3ヶ月分」という法外な業務委託費や広告宣伝費を請求(強制)し、そこで一気に利益を回収します。
目先の「毎月数千円の手数料の安さ」に飛びついた結果、退去時の無駄な高額リフォームや莫大な広告料によって、トータルで見れば「標準的な5%の会社」よりも遥かに多くのキャッシュを搾取されてしまう。これが、手数料の安さだけで管理会社を選ぶことの本当の恐ろしさです。
客付け力
管理会社を評価する上で、絶対に妥協してはならないのが「客付け力(空室を埋める力)」です。どんなに手数料が安くても、どんなに清掃が行き届いていても、「空室」が長引けば、オーナーの口座からは毎月ローンの引き落としだけが虚しくかさみ、あっという間に倒産(自己破産)へと追い込まれます。では、客付け力が「強い」会社と「弱い(ダメな)」会社の違いはどこにあるのでしょうか。
「元付(もとづけ)」と「客付(きゃくづけ)」の仕組み
不動産の賃貸仲介には、大きく分けて「あなたが直接依頼している管理会社(元付業者)」と、「実際にお店でお客さんに応対して物件を紹介する会社(客付業者)」が存在します。
ダメな管理会社(囲い込み業者)は、自分の会社に直接来たお客さんにだけあなたの物件を紹介しようとします。なぜなら、自社で客付けすれば、入居者から「仲介手数料(家賃1ヶ月分)」を丸々貰え、オーナーからも広告料を貰える(つまり利益を両手で独占できる)からです。その結果、物件情報は他の多くの不動産屋には公開されず、あなたの部屋はいつまで経っても決まらずに放置(塩漬け)されます。
一方、真に客付け力の強い優秀な管理会社は、利益を独占しません。オーナーから預かった物件の情報を「業者間流通ネットワーク(レインズやATBBなど)」に即座に公開し、周辺の何十、何百という他社の不動産屋(客付業者)に対して、「この物件を決めてくれたら、オーナーから貰う広告料の中から御社にもたっぷりキックバックを出しますよ!」と積極的に営業(FAXや電話、訪問)をかけます。自社の利益(手数料)を削ってでも、全国の仲介会社のネットワークの圧倒的な販売力を総動員して、あなたの空室を一瞬で埋めにかかるのです。この「情報のポテンシャル(他社へのオープンな姿勢)」こそが、客付け力の最大の源泉です。
「募集図面(マイソク)」と「写真」のクオリティ
また、インターネットで部屋を探す現代において、客付け力の差は「募集資料のクオリティ」に如実に表れます。ダメな管理会社は、薄暗い部屋でスマホで適当に撮った写真と、白黒で見づらい簡単な間取り図(通称:マイソク)で募集をかけます。これでは他の物件に埋もれてしまい、誰の目にも止まりません。
優秀な管理会社は、一眼レフカメラと広角レンズを使い、部屋が最も明るく広く見える時間帯にプロ並みの写真を何十枚も撮影します。さらに、間取り図にはカラーで詳細な寸法やアピールポイント(「スーパーまで徒歩3分!」「ネット無料!」など)を視覚的に美しくデザインします。この「魅せる技術(マーケティング力)」の差が、内見の反響数に数倍〜数十倍の決定的な違いを生み出すのです。
見極めチェックリスト
ここまで管理会社の役割と恐ろしい罠を解説してきました。それでは最後に、これから物件を購入する、あるいは現在の管理会社に不満を持っているあなたが、相手が「優秀な管理会社」か「ダメな管理会社」かを一発で見極めるための、プロ直伝の実践的な【5つのチェックリスト】を公開します。
管理会社の担当者(または社長)と面談する際、以下の質問を直接投げかけてみてください。その回答の「解像度」にすべてが現れます。
?「御社の平均空室期間(または入居率)はどれくらいですか?」
最も基本にして究極の質問です。優秀な管理会社は自社の成績に絶対のプライドを持っているため、「現在の弊社管理物件の総合入居率は96.5%です。退去から次の入居者が家賃を発生させるまでの平均日数は約45日です」と、具体的な数字で即答します。
逆にダメな会社は「まあ、時期にもよりますがボチボチ埋まりますよ」「今はどこも厳しいですからね」と、数字を持たず感覚で濁そうとします。自社のKPI(重要業績評価指標)すら計測していない会社に、あなたの数千万円の資産を預けてはいけません。
?「退去から募集開始、および原状回復工事が完了するまでのスピードは?」
空室期間を短縮するためには、スピードが命です。優秀な管理会社は、「入居者から退去の申し出(通常1ヶ月前)があった『その日のうち』に、今の写真を使って次回の募集をネットで開始します。そして退去日から2週間以内でクリーニングと原状回復を完了させます」と答えます。退去してからダラダラと工事の見積もりを取り始め、募集開始が1ヶ月も後になるような会社は論外です。
?「他業者(客付業者)への情報公開(客付け依頼)はどのように行っていますか?」
前述した「囲い込み」を見抜くための最重要質問です。「レインズへの登録はもちろん、周辺の仲介業者上位30店舗に対して、定期的に空室一覧を持参して直接営業に回っています」と堂々と答える会社を選んでください。「ウチは来店客が多いから、ウチだけで決められます!」と自信満々に語る会社ほど、結果的に空室を長期化させる囲い込み業者である可能性が極めて高いです。
?「今のトレンドで、このエリアで決まりやすい設備やリフォームは何ですか?」
管理会社が、最新の賃貸ニーズ(市場動向)を的確に捉えているかをテストする質問です。ダメな会社は「とにかく家賃を下げましょう」「とりあえずクロスを白に張り替えましょう」といった思考停止の提案しかできません。
優秀な管理会社は、「このエリアは単身のテレワーク層が増えているので、高速無料インターネットの導入が必須です。あと、最近はモニター付きインターホンよりもスマートロックの方が反響が取れますね。クロスは一面だけグレーのアクセントクロスを入れると内見時の成約率が劇的に上がります」といった、費用対効果の明確な「投資提案(バリューアップ提案)」を具体的に打ち出してきます。
? 店舗の前と中の「整理整頓(清潔感)」
口頭での質問以外に、絶対に確認すべき視覚的なポイントです。管理会社の店舗を突然訪れた際、店の前や窓ガラスが汚れていたり、スタッフのデスクの上に書類が山積みに乱雑に置かれている場合、その会社は絶対に選んではいけません。
自分の店舗(城)の美観や整理整頓すらできないルーズな会社が、遠く離れたあなたの物件を綺麗に管理・清掃できるわけがありません。店舗の清潔感は、その会社の「管理に対する意識(仕事の基本)」を100%正確に映し出す鏡なのです。
まとめ
「物件を買うこと」は、不動産投資におけるほんの入り口に過ぎません。買った後の数十年にわたる賃貸経営において、あなたの収益を最大化し、あなたに「本当の不労所得(自由な時間と安定したキャッシュフロー)」をもたらしてくれるのは、間違いなく「優秀な管理会社(プロパティマネージャー)」の力量です。
目先の「管理手数料の安さ」や「甘い営業トーク」に決して騙されないでください。手数料無料の裏で高額なリフォーム代を中抜きし、物件を囲い込んで空室を放置するような悪徳業者に捕まれば、あなたの資産は骨の髄までしゃぶり尽くされます。
管理会社は「パートナー」であり「ビジネスの右腕」です。彼らが他社の仲介業者に対してどこまで真摯に開かれた営業(客付け)を行っているのか。具体的な入居率のデータを持っているのか。退去から募集までのスピード感はあるか。この記事で紹介した「見極めチェックリスト」を武器に、厳しく、そして徹底的に面接(ヒアリング)を行ってください。あなたの投資の命運を託すに足る、本物のプロフェッショナルを見つけ出すことこそが、不動産投資において最も価値のある、最大の努力なのです。