新築と中古どちらが儲かる?不動産投資の収益比較

不動産投資をこれから始める際、誰もが一度は直面し、そして最も深く悩むのが「新築物件と中古物件、どちらを購入すべきなのか?」という究極の二択です。不動産会社に相談に行けば、新築を専門に扱う業者は「新築こそが安心で最良の投資だ」と強弁し、中古をメインに扱う業者は「中古の高利回りこそが不動産投資の醍醐味だ」と主張します。情報が溢れる中で、これから投資を始める方は一体どちらの意見を信じれば良いのか迷ってしまうことでしょう。

結論から申し上げますと、不動産投資において「新築と中古、客観的に見てどちらが絶対に儲かるか」という万人共通の正解は存在しません。なぜなら、新築と中古は単に築年数が違うというだけでなく、投資としての「ビジネスモデル」や「リスクの質」が全く異なる別物の金融商品だからです。期待できる利回り、背負うべきリスク、必要となる自己資金、金融機関からの融資条件、そして最終的な出口戦略(売却)に至るまで、すべてのアプローチが正反対と言っても過言ではありません。

不動産投資で失敗しないためには、業者のおすすめを鵜呑みにするのではなく、ご自身の属性(年収、保有資産、年齢など)と投資の目的に照らし合わせて、最適な選択を行う論理的な思考力が必要です。本記事では、約の圧倒的なボリュームで、新築物件と中古物件のメリット・デメリットを徹底的に比較解剖します。さらに、購入時だけでなく「10年後」を見据えたリアルな収益シミュレーションや、初心者に向いている物件の選び方、そして最終的にどのような属性の方がどちらを選ぶべきなのかという結論まで、プロの投資家目線で余すところなく解説します。

新築のメリット・デメリット

まずは、真新しい設備と外観で入居者を魅了する「新築物件」について、投資という観点から見た場合のメリットとデメリットを深く掘り下げていきます。新築は安心感が強い一方で、投資効率という面ではシビアな現実が待ち受けています。

新築の最大の武器:空室リスクの圧倒的な低さと手間のなさ

新築物件の最も強力で魅力的なメリットは、「入居者からの圧倒的な人気の高さ」による空室リスクの低さです。日本の賃貸市場において「新築ブランド」への信仰は根強く、最新のシステムキッチン、オートロック、宅配ボックス、そして誰も使っていない綺麗な水回りといった設備は、周辺の既存物件との競争において最強の武器となります。募集を開始すれば、家賃設定を周辺相場より強気に(プレミアム価格で)設定したとしても、竣工前から満室になるケースも珍しくありません。また、入居者の属性も比較的安定した職業の方が集まりやすく、家賃滞納や入居者トラブルのリスクも低減されます。

さらに、購入直後から数年間は突発的な高額の修繕費が発生する可能性が極めて低く、設備のメーカー保証もついているため、オーナーの「手間」がほとんどかからないという心理的安心感も大きなメリットです。本業が忙しく、不動産管理に時間も労力も割けないサラリーマンや医師といった方にとっては、この「ほったらかしでも安定稼働する」という点が最大限に評価されるポイントとなります。

新築の最大の弱点:利回りの低さと家賃下落リスク

しかし、投資としての収益性に目を向けると、新築には非常に重いデメリットが存在します。それは「利回りの低さ」です。新築物件の取得価格には、土地・建物代に加えて、デベロッパー(開発業者)の多額の利益、広告宣伝費、販売代理店のマージンなどがたっぷりと上乗せされています。これを「新築プレミアム価格」と呼びます。

購入価格(分譲価格)が不当に高いため、いかに新築プレミアム家賃を取れたとしても、投下した資本に対するリターン(表面利回り)は、都心のワンルームマンションであれば3%〜4%台前半という低水準に甘んじることがほとんどです。ここから管理費、修繕積立金、固定資産税などの経費を差し引いた実質利回り(NOI利回り)はさらに低下し、ローンを組んで購入した場合は、毎月の手残り(キャッシュフロー)が赤字、良くても数千円程度のトントンになるケースが圧倒的多数を占めます。

そして最も恐ろしいのが「一度人が入居した瞬間に、新築プレミアムが剥落し中古になる」という事実です。最初の入居者が退去した後の2回目の募集からは「築浅の中古物件」という扱いになり、家賃は新築時から5%〜10%程度確実に下落します。また、物件の売却価値(市場価値)も、購入直後に10%〜20%ほど一気に目減りします。つまり、新築マンション投資は「買った瞬間に含み損を抱える」構造になっており、購入直後に何らかの事情で売却しなければならなくなった場合、自己資金を持ち出しでローン残債を埋めなければならないという極めて危険なリスクを含んでいるのです。

中古のメリット・デメリット

次に、築年数が経過した「中古物件」について解説します。中古は新築のような華やかさはありませんが、不動産投資のプロフェッショナルや専業大家の多くが主戦場としている、投資妙味に溢れた市場です。

中古の最大の魅力:利回りの高さと価格下落の緩やかさ

中古物件の圧倒的なメリットは、「利回りの高さ(収益性の高さ)」と「キャッシュフローの出やすさ」に尽きます。新築時に上乗せされていた業者の利益(新築プレミアム)は既に剥落しており、市場の実勢価値に基づいた適正な価格で取引されるため、新築と同じエリアであっても取得価格を大幅に抑えることができます。そのため、地方の中古アパートなどであれば表面利回り10%超え、都心の中古マンションでも5%〜7%といった、実物資産投資として十分なリターンを狙うことが可能です。ローンを利用しても、毎月数万円から十数万円のプラスのキャッシュフロー(手取り収入)を初月から生み出す設計が構築しやすくなります。

また、不動産の価格と家賃は、築15年〜20年頃までに大きく下落しますが、その後は下落カーブが非常に緩やかになるという法則があります。そのため、築20年程度の中古物件を購入した場合、購入後の家賃下落スピードが遅く、安定した利回りが長期にわたって維持しやすいという強みがあります。さらに、売却時にも購入時とあまり変わらない価格、あるいは市況によっては購入時以上の価格で売却(キャピタルゲインの獲得)ができる可能性も高く、出口戦略が描きやすいというのも中古投資の大きなメリットです。

中古の最大の懸念点:修繕リスクと空室対策の難易度

一方で、中古物件に立ちはだかる最大の壁が「修繕リスク」です。建物は確実に経年劣化していきます。築20年、30年となれば、外壁塗装、屋上防水のやり直し、給排水管の更新、各部屋の給湯器やエアコンの交換といった高額な修繕費用が次々と発生するようになります。どんなに高い利回りで物件を購入しても、突発的な大規模修繕によって数百万単位の出費が発生すれば、コツコツ貯めたキャッシュフローは一瞬にして吹き飛んでしまいます。事前の内見や重要事項説明書などを通じて、「過去にどのような修繕が行われてきたか」「将来どのような修繕が必要になるか」を見極める目利き力が投資家に強く求められます。

また、築古になればなるほど、新築や築浅物件に比べて競争力が低下するため、「空室リスク」にも直面しやすくなります。設備が古臭い、間取りが現代のライフスタイルに合っていないといった理由で、退去後に長期間空室が埋まらない事態におちいることも少なくありません。これを乗り越えるためには、適切なリノベーションによって物件のバリューアップを行ったり、優秀な賃貸仲介会社を開拓して入居者付けを依頼したりする「オーナーとしての経営努力と創意工夫」が不可欠となります。新築のように「買って放置」は通用しないのです。

10年後の収益比較シミュレーション

新築と中古の違いをよりリアルに理解するために、購入から「10年後」を想定した収益比較シミュレーションを行ってみましょう。不動産投資は最初の1年目の利回りだけでなく、時間が経過した際に「家賃下落」と「ローン残債」がどのように推移するかが勝負の分かれ目となります。

家賃下落の恐るべきスピード差

新築物件は、完成時をピークにして最初の10年間で最も激しく家賃が下落します。例えば、新築時に月額10万円で貸し出せた都心のワンルームマンションは、退去が発生するごとに家賃を下げざるを得ず、10年後には月額8万5千円〜9万円程度まで下落するケースが多いです。家賃が下落しても、毎月のローン返済額や管理費等の経費は一定(あるいは修繕積立金は増額される傾向)であるため、年を追うごとにキャッシュフローは圧迫され、手出し(赤字)が発生するリスクが急速に高まります。

一方、築20年の中古物件(購入自家賃7万円)を購入した場合、10年経過して築30年になっても、家賃は6万5千円〜6万8千円程度と、下落幅は非常に緩やかです。家賃下落がマイルドであるため、設定した高い実質利回りが維持されやすく、10年間トータルで生み出すキャッシュ(現金の蓄積額)は、多くの場合において新築物件を大きく上回ることになります。

残債の減り方と「売却時の手残り」

不動産投資の真の成果は「売却して現金を手にした瞬間」に確定します。この時、物件の「売却想定価格」から「ローンの残債(残りの借金額)」を差し引いた金額が、オーナーの手元に残る利益となります。

新築物件は、購入価格にたっぷり乗っていた新築プレミアムが剥落するため、10年後の売却価値は購入時の70%〜80%程度まで下落していることが一般的です。たとえば3,000万円で購入した新築が、10年後に2,200万円でしか売れないといった事態です。もしフルローンで購入しており、10年後の残債が2,400万円残っていた場合、「売却しても200万円の借金が残り、自己資金を手出ししないと売るに売れない(残債割れ・オーバーローン)」という悲惨な事態に陥ります。

逆に中古物件は、もともと市場価値に基づいた妥当な価格で購入しているため、10年後の価格下落幅が小さく抑えられます。1,500万円で購入した築古物件が、10年後にも1,300万円で売却できるケースは多々あります。ローン残債の目減りスピードの方が物件価格の下落スピードを上回る(これをイールドギャップと呼びます)ため、売却時にまとまった現金(売却益)を手元に残す「キャピタルゲインの獲得」が実現しやすくなるのです。10年後のトータルリターン(運用中のキャッシュフロー+売却時の手残り)で比較すると、正しい目利きで購入した中古物件のほうが、圧倒的な収益性を誇ることがこのシミュレーションから明らかになります。

初心者に向いているのはどちらか

ここまで収益性の観点から比較してきましたが、「それでは投資初心者は絶対に中古物件を買うべきなのか?」というと、必ずしもそう言い切れないのが不動産投資の奥深いところです。

確かに、経済的自由の獲得やセミリタイアを目指し、不動産からのキャッシュフローだけで生活したいと考えているのであれば、最初から「中古物件(ひいては中古アパート等の1棟物件)」に挑む必要があります。新築ワンルームマンションを何部屋買い進めても、毎月のキャッシュフローは数千円にしかならないため、脱サラという目標には到底到達できないからです。

しかし、投資初心者が最初から中古物件の高利回りを安定して叩き出すには、超えなければならないハードルが存在します。それが前述した「修繕リスクのコントロール」です。購入直後に屋根の雨漏りが発覚したり、見えない白蟻被害があったりした場合、初心者にはその見積もりの妥当性を判断する知識もなく、悪徳リフォーム業者に高額の費用をぼったくられて投資が破綻してしまう危険性があります。

そこで、初心者が中古投資による高収益を狙う場合、絶対に避けて通れないのが「修繕に関する正しい知識の習得」です。どのような箇所がいつ頃壊れやすいのか、相場の修繕費用はいくらなのか、建物の劣化を事前に見抜くチェックポイントはどこなのか。これらの知識を事前に武装しておくことが、中古投資を成功させる上での生命線となります。

もし、こうした修繕対応や入居者募集の工夫といった「不動産賃貸業(ビジネス)」としての労力をかける覚悟がなく、自己資金も少ないが将来の年金代わりや生命保険代わりに「超長期的で手間のかからない資産形成」を手堅く行いたいというのであれば、都心部の立地の良い「新築・築浅ワンルームマンション」を厳選して1〜2戸長期保有する、というのもひとつの確立された戦略です。ただしその場合でも、決して毎月の不労所得(キャッシュフロー)は期待できないという事実を強烈に認識しておく必要があります。

結論

新築物件と中古物件、そのどちらが儲かるか・どちらを選ぶべきかという議論に対する最終的な結論は、「あなたの属性と目標によって正解が変わる」ということです。

【中古物件をおすすめする属性・目標】
・毎月自由に使える「手残りの現金(キャッシュフロー)」を本気で増やしたい方
・将来的に不動産投資からの収入で独立、セミリタイアを目指している方
・修繕やリフォーム、不動産会社との交渉など「経営者」としての労力を惜しまない方
・リスクを取ってでも、投下資本に対する高いリターン(利回り)を追求したい方

【新築(築浅)物件をおすすめする属性・目標】
・本業の年収が高く(概ね800万円〜1000万円以上)、節税効果をある程度享受できる方
・本業が極めて多忙であり、物件の管理や修繕の手配に一切の時間を割けない医師やエリートサラリーマンの方
・毎月のキャッシュフローは赤字でも構わないから、35年後にローンが完済された「無借金の都心マンション」を老後の年金・生命保険代わりとして手堅く残したい方

不動産投資の営業マンは、自社が売りたい商品をあなたに勧めてきます。新築専門の業者は新築のメリットだけを語り、中古専門の業者は新築をこき下ろします。しかし、ここまで約をお読みいただいたあなたには、双方に存在する「光と影」が明確に見えているはずです。

高利回りの裏には修繕と空室という越えるべき壁(リスク)があり、手間がかからない手軽さの裏には利回りの低さと残債割れの恐怖が潜んでいます。このトレードオフの構造を完全に理解した上で、ご自身のライフプランに最も合致する物件種別を自らの意思で選び取ること。それこそが、情報弱者から脱却し、不動産投資の世界で揺るぎない成功を掴み取るための第一歩なのです。


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